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2016年11月30日 (水)

耳栓の話!(1758)

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2016年11月29日 現地時間

予報通りに温暖前線がやって来た。 風は強まり、うねりは次第に大きくなる。 全て予想通り。 縮帆の準備をせねば。 メインはワンポ。 ハリヤードを緩め、リーフ・ラインを引き絞める。 練習通り、作業は進む。

低い雲に覆われた灰色の空。 波の向こうに何やら白い物が見え隠れ。 一羽の鳥が、波に接するように飛び交う。 アルバトロスだ。 南氷洋のシンボルだ。 さあ今こそ、ステージに登る時がきた。そして俺の演技をせねばならぬ。

波に乗って船は増々加速する。 ヘルムの感覚も良い。 この調子だ。 船は完全に意のままだ。  何もせず、眺めるだけ。 シェルターの陰に駆け込む。 寒くなってきた。 何もかもが、湿ってきた。 

20ノットは、越してる。 キールが、甲高い悲鳴を上げてきた。 ラダーも、ダガーボードも低く唸る。 シュラウドが、低くリズムを刻む。 1940年代のハード・ロックのリズムだ。 

今日も明日も、この地獄で生きねばならぬ。 分厚いダウンをはおり、ストレスを纏い、一瞬たりとも気を抜けない。 

船は身震いしながら大波に突っ込む。 その瞬間、激しいショックがエコーする。 振動が体を貫き、心まで震えあがらせる。 ノイズ、はハイドロ・カーボン製船体で増幅され、耳をつんざく。 時には爆発し、その騒音は油圧ドリルの様に、エアバスの離陸のように、耐えがたいレベルまで達する。

  
何だい、この文章は、耐えがたい文章だ!

この様な酷い環境でも、慣れとは恐ろしいもので、Vendee Globeの艇長は、デッキの下でぐっすりお休みになる。 どだいレー中に、寝ることが出来るスポーツなんてめったにお目にかかれない。 

しかし最近は、ノイズ・キャンセラー付きイヤフォンがあるのをご存知か? 完全にノイズを無くすのは、非常に危険な事である。 ノイズの中には、船の悲鳴とか、警報が含まれているのだ。 それまで、キャンセルされては堪らない。 

目を閉じれば、何もかも視界から遮断できるが、手のひらで両耳を覆っても、ノイズを消すことは不可能だ。 

何か良い、耳栓を発明してくれませんかね!! 

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オリジナル記事は、こちらです。


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